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自律神経と東洋医学の「肝」について

2024.12.05

コラム

前回のコラムで自律神経と東洋医学の五行の「脾」についての説明をさせていただきましたが

今回は「肝」についてお話ししたいと思います。

東洋医学の「肝」と西洋医学における「肝臓」の違いについて

東洋医学における「肝」の概念
東洋医学では「肝」は単なる臓器としての肝臓を超えた広範な概念を持っています。以下のような役割が含まれます。

血の貯蔵と調節「肝」は血液の貯蔵と調整を行い、必要に応じて体内に血液を供給します。これは女性の月経や筋肉活動の際に重要です。

気の流れと疏泄(そせつ)「肝」は体内の「気」(エネルギー)の流れを調節し、体内の各臓器や経絡に適切なエネルギーを供給します。ストレスや感情の変動はこの「気」の流れを阻害し、体調不良を引き起こすことがあります。

感情の調整「肝」は感情のバランスを保つ役割もあります。怒りやイライラは肝に影響を与え、逆に肝の不調は感情の乱れとして現れることがあります。

筋肉と腱の健康「肝」は筋肉や腱の健康にも関与しています。適切な血液供給が筋肉や腱の柔軟性と強さを維持します。

西洋医学における「肝臓」の役割
一方、西洋医学では「肝臓」は具体的な臓器として以下のような機能を持っています。

代謝:肝臓は栄養素の代謝を行い、エネルギーの生成や脂肪、糖、タンパク質の代謝を調整します。

解毒:肝臓は体内に入る毒素を分解し、無害な物質に変換して排出する役割を果たします。

貯蔵:肝臓はビタミンやミネラル、血液の一部を貯蔵し、必要なときに供給します。

合成:肝臓は血液凝固に必要なタンパク質やコレステロール、胆汁などを合成します。

東洋医学の肝の不調の症状

東洋医学における「肝」の不調は、体のさまざまな部分に影響を及ぼします

以下は、東洋医学で肝の不調と関連付けられる主な症状です

身体的な症状

  1. 目の異常:目のかすみ、乾燥、かゆみなど。東洋医学では「肝」は目と深く関連していると考えられています。
  2. 筋肉のこわばり:特に肩や首のこり、筋肉の緊張が見られることがあります。
  3. 生理不順:女性では月経不順や月経痛が「肝」の不調と関連付けられることがあります。
  4. 手足の冷え:血の流れが滞ることで、手足が冷たく感じることがあります。
  5. 腹部の痛みや膨満感:特に右上腹部に違和感を感じることがあります。

精神的な症状

  1. イライラや怒り「肝」の気が滞ると怒りっぽくなったり、イライラしやすくなります。
  2. 抑うつ感:気持ちが沈みがちになり、やる気を失うことがあります。
  3. 不安や緊張「肝」の不調は精神的な不安や緊張を引き起こすことがあります。

消化器系の症状

  1. 食欲不振:食欲が低下し、食事が楽しめなくなることがあります。
  2. 消化不良:消化がうまくいかず、腹部の不快感やガスがたまることがあります。
  3. 便秘や下痢:腸の働きが乱れ、便秘や下痢が発生することがあります。

その他の症状

  1. 頭痛:特に側頭部に痛みを感じることがあります。
  2. めまい:立ちくらみやめまいが生じることがあります。
  3. 疲労感:全身のだるさや慢性的な疲労感が続くことがあります。

肝の不調と自律神経の乱れ
「肝」の機能が低下すると、自律神経にも影響を及ぼすことがあります。

例えば

ストレス「肝」の疏泄機能が低下すると気の滞りが生じ、交感神経が過剰に働くことがあります。

これにより、心拍数の増加や血圧の上昇などの症状が現れることがあります。

疲労「肝」が正常に血液を供給できないと、全身の疲労感やエネルギー不足を引き起こし、副交感神経の働きが弱くなることがあります。

東洋医学における「肝」と自律神経は気の流れや感情の調整、血液の管理を通じて密接に関連しています。肝の健康を維持することは、自律神経のバランスを保ち、全身の健康を促進するために重要です。

まとめ
東洋医学における「肝」は、身体全体のエネルギーバランスや感情の調整、筋肉と腱の健康維持など、広範な機能を持つ重要な概念です。これに対し西洋医学の「肝臓」は具体的な臓器として、代謝や解毒、貯蔵などの機能を果たしています。このように東洋医学と西洋医学では同じ「肝」という言葉でも、その捉え方や機能に対する理解が異なるのです。

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